2012年6月2日土曜日

医薬・医療マーケティング研究所: Topics


本日、11月30日、リピトールの米国での基本特許が切れるとのこと。

それに関連して、Harvard Business Review Blog NetworkにCHRISTOPHER BOWE氏のファイザーに関する投稿がありました。そこでは、ここ10年のファイザーの戦略の過ちを痛切に批判しています。

特に、企業分割したアルトリアの例を出して、ファイザーも同様な運命を辿るとの推論は、知人の顔が浮かんできて、ちょっと複雑です。日本ではついこの間、ワイスとの統合が終わったばかりですから・・・。

日本でも、2005年、山之内製薬藤沢薬品工業の統合によるアステラス製薬の誕生、2007年、第一製薬三共製薬(第一三共)、三菱ウェルファーマ田辺製薬(田辺三菱製薬)、協和発酵工業キリンホールディングス( 協和発酵キリン)などの大型のM&Aが続出しました。

その後、やや沈静化したのですが、最近ではサノフィ・アベンティス日医工との提携、テバによる大洋薬品工業の買収とジェネリック医薬品メーカーのM&Aがらみの動きが出てきています。

しかし、製薬業界のM&Aブームの火付け役であるファイザーの行く末を見ると、M&Aによる規模の拡大が必ずしも企業価値を高めたかどうかは疑問に思います。

以下、BOWE氏のブログ記事を心して読んでいきましょう。

*********

さらば、リピトールよ。ただし、その教訓は忘れるな!


オリジナル猫ひっかき熱

大きな企業買収の70%は、想定された価値を創造することに失敗している。AOLとタイム・ワーナー、ダイムラーベンツとクライスラー、スプリントとネクステル(双方、携帯電話事業者)を思い起こして欲しい。しかし、主力製品リピトールを持つワーナー・ランバートを2000年に買収したファイザーの例は、数少ない例外であろう。リピトールは、11年間で、1,310億ドルの売上をもたらし、歴史上最も成功を収めた医薬品になった。

しかし、リピトールの基本特許は11月30日で切れ、ゆくゆくは安価な抗コレステロール薬の後発品が市場に溢れ出てくるであろう。そこで、疑問が残る。それは、価値があったのだろうか?そして、他の企業はファイザーの経験から、大� ��な企業買収について何を学ぶことがでるのだろうか?

巨額なリピトールの売上にも関わらず、最初の質問の答えは、多分、「価値はなかった」ということになるだろう。そして、他の企業にとっての教訓は、何を望むかに気を付けよ!ということで、さらに次の3点に集約されるのではないだろうか。

1.一つの収益源に頼り切ってしまう戦略に陥るな

ファーザーがワーナー・ランバートとの交渉を始めた時、ファーザーは今日とは全く異なった企業であった。小さくて、旺盛な野望を持ち、当時評判が高かったメルクにやや劣等感を持っていた。当時、ファイザーは、ワーナー・ランバートのある製品のマーケティングにおいて提携していたが、買収の理由は、リピトールを完全なコントロール下に� ��いてビッグになろうというものだけだったであろう。


肥満の健康への影響

10年が経過して、ファイザーは持続可能な将来を描くのではなく、より傲慢な動機に支配されるようになっていった。企業の将来を守っていく戦略は、多角的な投資であり、ダブル・ドーン(ブラックジャックで、配られたカードを見て、賭け金を2倍にして1枚カードを引くこと)ではない。そして、巨額な買収で大きくなることが、革新的な新製品を生み出し続けるという製薬企業のコア領域でより良い選択肢であるかどうかは未だ証明されていない。

2.戦略上の混乱が起こっている時に、さらに混乱するようなことをするな!

リピトールを手に入れた矢先に、すでに製薬業界のアドバイザーや投資家達は、リピトールの特許が切れて、フ� �ーザーの売上の約4分の1が消えてしまうのではないかという不安の虜になった。当時、リピトールは急激に売上を伸ばしている最中であり、強力な競合製品であるゾコール(メルクが販売、日本名:リポバス)が後発品によって大打撃を被り、メディケイド(低所得者・身体障害者に対して用意された公的医療制度)に代表される支払サイドの政策の転換期(*)を迎えていた。

* http://www.msapr.com/images/060420PPTslides.pdf

本質的な成長ではない"馬鹿の一つ覚え"として、ファイザーは巨額なM&Aを重ねていった。2003年のファルマシア(セレブレックス:リウマチや関節炎の痛み止め)、2009年、ワイスを統合し、ファイザーは世界一の規模を誇る製薬企業となった。しかし、これらの買収は、分裂と混乱の原因となり、ファイザーは企業統合に苦しむこととなった。


キューティクル障害

ファイザーが、巧妙に世間の関心を集めている間は、リピトールに依存していることを忘れさせた。将来の特許切れ製品を考慮した開発計画や、追加の特許を追加し、製品の寿命を延ばすという高度なテクニックを駆使していくうちに、企業風土の変化に拍車がかかり、新たなモデルが確立された。2006年のリピトール売上を分離して考えれば、フォーチュン200に入るほど優れたものになったであろう。

アルトリア(**)の例を考えてみよう。アルトリアは、業績不振のために分裂した。米国のたばこ産業の低迷が無ければ、2008年に高成長のフィリップ・モリス・インターナショナルと業績が悪化したフィリップ・モリスUSAが分離するような国内外での分裂はなかったで あろう。そして、分離した企業のCEO達は、彼らの業績を盾にとり、個々の企業のビジネスを前進させるモチベーションが非常に高い。ファイザーも同様な道筋を辿る可能性が高い。

**アメリカを本拠地とする、食品・タバコ産業グループ。食品分野での売上高は世界第1位。米国外事業を手掛けるフィリップモリス・インターナショナルのスピンオフに関しては、下記参照ください。

3.買収はイノベーションを見つけるべきで、イノベーションの代わりにはならない

リピトールの合計売上1,310億ドルは株主に何をもたらしたのか?ファイザーの株価は、ワーナー・ランバート買収がアナウンスされた5ヶ月後の2000年6月末に歴史的な高値を付けたが、現在の株価はその60%を割り込んでいる。配当や� �のリターンによって多額のキャッシュを分配しているにもかかわらず、株主価値は低迷し、ファイザーの株価は大きく値を下げている。


売上において、一つの製品へのの極度な依存、問題解決に繋がらない買収での目くらまし、ファイザーは自身の改革に失敗した。

ブランド医薬品に対する高価格が主な論拠になっている業界において(彼らはそれらをイノベーションと思っていたのであるが)、長期間の企業の健全性を保つために行ったリピトールを得るために行った巨額の買収の失敗は、驚きと疑問をもって見守られている。

リピトールは衰退していくであろうが、イノベーション主体の産業のリーダーは、この事を教訓として心に留めて置くべきであろう。

**********

*日本の製薬企業のリストラ情報が下記のページのコメント部分にあります。ファイザーに関しても、日本を中心とした記事(若干、米国� ��記事もあります)が載っていますので、参考にしてください。リストラは、何らかの経営判断の過ちの帰結だと思います。

 



These are our most popular posts:

MSツワイスロンカプセル10mg -効果効能・副作用辞典[薬検索] All About

シート記載, MSツワイスロンカプセル、10mg、MS-TWICELON cap.、TF-TL10 ... 通常 、激しい痛みをともなう各種がんにおける鎮痛に用いられます。 次のような方 .... 掲載の 記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます. read more

医薬・医療マーケティング研究所: Topics

2012/5/29: 抗悪性腫瘍剤「ザーコリカプセル200mg/250mg」新発売-ALK 融合 遺伝子陽性の非小細胞肺がんに適応; 2012/5/25: ≪47都道府県比較 受動喫煙 に対する意識調査≫世界禁煙デーを前に受動喫煙、職場の喫煙環境の地域差を調査、 全国9400 ... read more

MSツワイスロンカプセル60mg(麻薬)[日本化薬株式会社]の効果と ...

日本化薬株式会社のMSツワイスロンカプセル60mg(麻薬)、一般名モルヒネ硫酸塩水 和物(Morphine sulfate hydrate) の効果と副作用、写真、保管方法等を掲載。 ... 通常、 激しい痛みをともなう各種がんにおける鎮痛に用いられます。 MSツワイスロン ... read more

一般のみなさまへ

胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍; 食道静脈瘤; 胃悪性腫瘍(がん); 出血性 胃炎; マロリー・ワイス症候群など. 胃、十二指腸潰瘍は繰り返し再発することが多く、 一度出血を伴った潰瘍では再 出血しやすいようです。アスピリンなどの解熱鎮痛剤の 使用は ... read more

0 件のコメント:

コメントを投稿