2012年5月16日水曜日

血液検査|血液検査一般、生化学検査、カリウム濃度異常|尿と病気



血液検査/尿と病気

     

§1  血液検査とは/血液検査/尿と病気


      
血液検査は、尿を作るという腎臓の機能に異常を来たした場合に、血液に反映される情報を把握する事によ

      り、いち早くその状態を捉える極めて有益、重要な検査になります。 腎臓には血液を濾過し、尿をつくる重要

      な働きがあり、腎機能に異常があれば、その異常が血液に反映されます。(例えば、腎機能が低下していれ

      ば、不要な老廃物が血液中に残っております。) また、 血液検査で、腎臓病の原因や進行を促がす要因を

      推測する有用な情報も、もたらします。例えば、白血球は感染の有無を、中性脂肪は脂質異常症を、電解質

      は腎機能を知る上での有用な情報をもたらしています。

     

§2  血液検査一般/血液検査/尿と病気

       血液検査は一般の健康診断でもチェックされる非常に重要な検査です。血液検査により、健康状態は広範

       にわたり、捉える事ができる事を殆どの方が自覚されておられる事と思います。腎臓病の場合には、腎機能

       の直接の状態把握以外にも、 腎臓病に大きな影響を及ぼすような、 他疾患などの状態も 把握するために、

       有用な情報を得る事ができます。糖尿病や脂質異常症(高脂血症)などや、加えて治療経過の観察にも、血

       液検査は欠かせない有益な手法です。


背中や背骨の条件脊柱側弯症
検査項目 特記事項
赤血球数 慢性腎不全などで貧血が進行すれば減少します。
白血球数 急性腎盂腎炎などの感染症で上昇します。
ヘモグロビン 慢性腎不全などで貧血が進行すれば減少します。
血小板 ネフローゼ症候群で大量の蛋白が失われると減少します。
ヘマトクリット 慢性腎不全などで貧血が進行する事により低下します。
尿酸値 高尿酸血症は痛風の原因になります。痛風腎のリスクも高まります。
血清総蛋白 ネフローゼ症候群で低下します。尿中に大量に出ていると低下します。
血清アルブミン 尿蛋白が多いと低下します。ネフローゼ症候群で低下します。
血清コレステロール 脂質異常症(高脂血症)の場合、高くなります。脂質異常症は腎機能を低下させます。ネフローゼ症候群では特に上昇傾向を示します。
血清ナトリウム ネフローゼ症候群、腎不全などで腎機能が障害されますと、低値を示します。
血清クロール 血清ナトリウムと連動する性質を持つ。尿細管の異常で高値を示します。
血清カリウム 低値を示す時は、二次性高血圧、尿細管の異常を疑います。高値を示す場合には、急性腎不全、慢性腎不全を疑います。
血清カルシウム 低値はネフローゼ症候群、慢性腎不全を疑い、高値では急性腎不全を疑います。
血清リン 低値はビタミンD欠乏症、高値は慢性腎不全を疑います。
中性脂肪 脂質異常症(高脂血症)の場合には高値を示しますが、ネフローゼ症候群では特に上昇します。
血清クレアチニン 数値の上昇は腎機能低下を示します。
血清尿素窒素 数値の上昇は腎機能低下を示します。

     


休暇めまい頭痛
§3  生化学検査/血液検査/尿と病気
検査項目 特記事項
血清クレアチニン 筋肉中に含まれる老廃物で、腎機能が低下すると血液中に増え、高値を示します。腎臓の状態を知る重要なデータです。血清クレアチニン値で異常が判る状態は、腎機能が健康時の50〜60%と考えられております。(血清クレアチニン異常値関連疾患も御参考にご覧下さい。)
血清尿素窒素 食事として摂取された蛋白中の窒素は殆んど尿中に排泄されます。これは尿素窒素として大部分が排泄されるため、腎機能の障害がある場合には、BUNの上昇が目立つ事になります。BUN(血中尿素窒素)の測定は、血清クレアチニン値と同様の重要な腎機能を把握できる検査方法です。血液中に含まれる窒素量を測定し、尿素の量を割り出す方法です。腎機能が低下すると高値を示します。尿素は蛋白質の老廃物であり、それが血液中に増加傾向を示す事は、排泄が旨くいっていない状態を示しています。但し、BUNは腎臓からの排泄に関連する腎性因子のみならず、それ以外の因子(摂取蛋白量、組織の崩壊、火傷、癌などによる異化亢進、脱水や浮腫、下痢などの循環血液量異常など)でも変動します。女性� ��男性より10〜20%程度低い値になります。その他、年齢、日内(日中高、夜間低)、季節変動(夏・冬高値)や、月経(直前高値)、妊娠(浮腫、糸球体濾過量の増加により低下)、薬剤(利尿剤、脱水・腎毒性のある抗生物質で高値)、食事(菜食主義・低蛋白食で低下)、運動(亢進)、発熱(亢進)などで変動します。
クレアチニン・クリアランス(Ccr) 血清クレアチニン値と尿量から算出し、(尿クレアチニン濃度mg/dl × 尿量ml/minを血清クレアチニン値mg/dlで割ります)腎臓でろ過される血液量(〇ml/min)を知ることで、腎機能の状態を把握します。高齢の方は、腎機能が低下しますので、数値が低下してきます。この尿量を把握するための採尿の方法は、短時間法と24時間法が有りますが、通常、短時間法を採用しております。クレアチニン(Cr)は筋肉内で生成される代謝産物で血中に出現する。殆んどは尿中に排泄されます。CcrがGFR(糸球体濾過量)に代わるものとして使用されております。
尿酸 尿酸はプリン体(体細胞の核の核蛋白プリン体)の最終代謝物質です。食品に含まれるプリン体と合わせて1g/日 の尿酸が産生されております。高尿酸値が5年以上持続すると、痛風、腎障害(痛風腎)などを発症する危険性があります。また、尿細管を詰まらせれば、腎臓を破壊します。
血清カリウム カリウムの殆んど(約98%)は体細胞内に含まれており、細胞外には約2%程度が、存在しています。この細胞内外のカリウム濃度により、細胞膜電位に影響し、神経、筋の機能を左右する重要な役割を果たしております。カリウム濃度異常により、意識障害、知覚障害、運動麻痺、心電図異常などを惹起します。

     

 §3−1 カリウム濃度異常による心電図異常模式図/生化学検査/血液検査/尿と病気

     


左側に呼吸痛み
  血清カリウム濃度異常で起きる心電図異常は、高カリウム血症では、高く先鋭なT波、P波減高(K7mEq/L以

       上)、P波消失、QRS開大(K8mEq/L以上)、心室細動。低カリウム血症では、心室性期外収縮多発、U波出

       現、P-R時間延長、ST低下などの異常波形が出現します。

     

 §3−2 カリウム濃度異常に起因する主要疾患/生化学検査/血液検査/尿と病気
低カリウム血症
カリウムの摂取不足 慢性アルコール中毒、神経性食思不振
消化管からのカリウム喪失 下痢、嘔吐、下剤の常用、腸瘻、消化液のドレナージ、尿管結腸吻合術
尿中へのカリウム喪失 アルドステロンの過剰
 原発性・続発性アルドステロン症、クッシング症候群、腎血管性高血圧、悪性高血圧、レニン産生腫瘍、甘草の常用、バーター症候群、ナトリウム喪失型の腎炎(慢性腎盂腎炎、間質性腎炎)、尿細管性アシドーシス、利尿薬、糖尿病性ケトアシドーシス、急性腎不全多尿期、薬剤性腎障害(カルベニシリン、アムホテリシンB)
細胞内へのカリウムの移行 インスリンの投与、低カリウム血症性周期性四肢麻痺、アルカローシス
高カリウム血症
カリウムの摂取過剰 高カリウム食、輸血、カリウム製剤(経口、輸液)の投与
尿中のカリウム排泄障害 鉱質コルチコイドの欠乏
 副腎不全(アジソン病)、低レニンアルドステロン症、アルドステロン単独欠損症
腎不全(急性腎不全、慢性腎不全)
カリウム保持性利尿薬
細胞外へのカリウムの移行 組織の急激な崩壊
 外傷、熱傷、悪性腫瘍
アシドーシス
インスリン不足
溶血
高カリウム血症性周期性四肢麻痺
薬剤(サクシニルコリン)

      

§3−3 カリウム濃度異常値の処置/生化学検査/血液検査/尿と病気

       


低カリウム血症;カリウムを経口投与、静注により補給します。経口薬は、塩化カリウムは胃腸障害が出や

       すいので、 徐放剤やグルコン酸カリウムやアスパラギン酸カリウムなどの投与などで対応し、静注は注入

       濃度が40mEq/L上限で静注速度は20mEq/Lを上限に投与されます。

       

高カリウム血症;緊急対応では、カルシウム製剤(塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム)や重炭酸ナトリ

       ウムで静注対応し、次いで、高張ブドウ糖液の静注を行います。第3はループ利尿薬やカルシウムイオン交

       換樹脂の経口投与、注腸などで、 カリウムを排出する目的の治療が推奨されております。 その他、効果が

       希薄な場合には、 無カリウム透析液、 低カリウム透析液を使用した血液透析、腹膜透析も推奨されている。

       高カリウム血症で心停止状態になった場合も、 これらの対応を迅速に処置する事により救命に繋がる可能

       性もあると指摘されております。

     

* クレアチニン・クリアランス値(GFR/Ccr);老廃物のひとつであるクレアチニンが糸球体で1分間に何mlろ過さ

     れているのかを調べる。女性より男性のほうが、高値に出る傾向があります。高齢者では、腎機能が低下してく

     るために、年齢が高いほど数値は下がってきます。

正常値 男性 90〜120ml/min   女性 80〜120ml/min
異常値
 軽度  50〜70ml/min
 中等度  30〜50ml/min
 高度  30ml/min以下 (尿毒症の危険性があります。)
 尿毒症期  10ml/min以下


     GFR≒Ucr×V/Pcr  →  GFR≒Ccr  GCR(糸球体濾過量)


     Ccr=(Ucr×V/Scr)×1、73/A  

     

Ucr;尿中クレアチニン濃度(mg/dl)     V;尿量(ml/分)
     Scr or Pcr;血清クレアチニン濃度(mg/dl)     A;体表面積(u)
     Ccr;クレアチニン・クリアランス(ml/分)

     

* BUN(血中尿素窒素);blood urea nitrogenは、実際には血清中の尿素窒素を測定しています。慣例的にこれ

     をBUNとして使用しています。 血清尿素窒素とするならば、SUN(serum urea nitrogen)にすべきですが、この

     血中の尿素窒素を使用しています。一般的にBUNはSUNより少し低値になります。

     

* 血清クレアチニン異常値関連疾患;クレアチニンは主に筋肉を使った時に発生する老廃物で、腎機能が低下し

     ていますと、血中に増加します。 腎機能を知る有用なデータです。血清クレアチニンで異常を感知する時は、腎

     機能が50〜60%以下になっている時とされるため、早期に腎臓の状態を把握するためには、クレアチニン・クリ

     アランス


が必須です。
高値 低値
1 腎機能障害を来たす疾患/急性腎不全・慢性腎不全 1 腎排泄量の増加/妊娠・糖尿病
2 筋肉量増加/先端巨大症・巨人症 2 筋萎縮によるもの/筋ジストロフィー・多発性筋炎
3 血液濃縮・脱水症・熱傷 3 希釈

 home(尿と病気)/血液検査



These are our most popular posts:

高カリウム性周期性四肢麻痺 - Wikipedia

翻訳中途. この項目「高カリウム性周期性四肢麻痺」は途中まで翻訳されたものです。 ... ERのエピソードの後では、血液検査を行うと、特定の筋酵素が上昇しているため、 これらの二つの疾患は表面上類似しているが、分析すれば容易に鑑別できる。 てんかんと ... read more

血液検査|血液検査一般、生化学検査、カリウム濃度異常|尿と病気

2011年2月3日 ... 昼休み終了直後に部署の不要書類を処分するために、不要書類の運搬に担ぎ出された 。 ... ような下らない雑用からは解放されるはずなのだが、自分は出世レースから 弾き出された存在なので、このような屈辱的な扱いを甘受せねばならない。 ... 症状は先 に記述した通り低カリウム血症に起因する周期性四肢麻痺で、自分の場合は甲状腺に 異常がないため、生活習慣によるものだそうだ。 ... 血中カリウム濃度の低下を防ぐには 野菜の摂取が一番なのだそうですが、医者の推奨量を食べるのはとても無理 ... read more

ささやかなるレジスタンス: 厄介な持病「周期性四肢麻痺」

5 日前 ... 低カリウム性周期性四肢麻痺(HOKPP)は麻痺型とミオパチー型とで特徴づけられる。 ... が少なく、ナトリウム含有が少なく、カリウムを豊富に含む食事を取ること、経口的に カリウムを服用することで麻痺発作は予防できうる。 ... 神経学的診察は、ミオパチー による不可逆的な筋力低下の発見のために、下肢の筋力に注目する。 ... そのため、低 カリウム血症を伴う麻痺発作の場合には、以下の検査測定が推奨される。 read more

GRJ 高カリウム性周期性四肢麻痺1型

2011年1月10日 ... 一次症状の予防:麻痺発作は炭水化物を豊富に含む食事を頻回に取ること、 サイアザイド系利尿薬やアセタゾラミドを継続的に ... 筋への再取り込みのため、一過性 の低カリウム血症を呈すことがあり、低カリウム性周期性四肢麻痺と誤診される可能性 がある。 ... 筋生検 特異的所見がないこと、結果が治療方法・予後に影響を与えないこと から、hyperPP1が疑われる患者に対する筋生検は一般的には推奨されない。 read more

0 件のコメント:

コメントを投稿