2012年4月25日水曜日

放浪→定住?呼吸器科医の日記:2009年03月



水曜日に東京出張した際に、「Pneumocystis pneumonia」の講演を拝聴する機会がありました。
非常に臨床的であり、とても勉強になりました。(視点が臨床にある方は好きです)

2004年のNEJMの総説は診断と治療しか読んでなかったので、病態の部分を読んでみました。

MEDICAL PROGRESS:Pneumocystis Pneumonia
NEJM 2004;350(24):2487-2498

Pneumocystis感染に対する宿主の反応
・Pneumocystis感染の除去のためには炎症反応が必要だが、過剰反応は肺障害につながる
・重症PCPでは好中球による肺の炎症が主体であり、DAD→呼吸不全→死亡となる
 ⇒この重症度に影響するのは炎症の強さであって、菌量ではないことが分かっている

・好中球減少患者もPCPになるが、免疫抑制患者のほうが感染のリスクが高いことが分かっている
 ⇒感染自体には、リンパ球数が問題?

Lymphocyte Responses to Pneumocystis
・Pneumocystisに対する免疫反応;以下の複合反応
 CD4+ T lymphocytes
 alveolar macrophages
 neutrophils
 soluble mediators

・特に、CD4+ T cellsの活動性が重要
 動物・人の検討で分かっている・・・感染のリスクはCD4+ T cell

・CD4+ cellsの働き;memory cells
 炎症反応の指揮者;免疫細胞(単球、マクロファージ)の集積・活性化を行う

・severe combined immunodeficiency (SCID)のマウス(機能するT・B lymphocytesがない)
 ⇒pneumocystis infectionが3週齢までに生じる
  きちんと機能するマクロファージと好中球が存在するにも関わらず、感染症は進行性に悪化する
  ⇔CD4+ spleen cellを用いると免疫システムが再構成され、感染症が改善する


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・CD4+ cellsを中心としたpneumocystisに対する防御システムは最近分かってきたばかり
 Macrophageが産生するtumor necrosis factor α (TNF-α)とinterleukin-1は、
 pneumocystis infectionに対する肺での反応に重要な因子と考えられている
 ←CD4+ cellsが調節する
 
・CD4+ cellsはpneumocystis抗原に反応して増殖し、cytokine mediators(lymphotactin、interferon gamma)を分泌
 ⇒Lymphotactin;chemokine
    chemoattractant(化学遊走物質)…多くのリンパ球の集積を引き起こす
   Interferon gamma;
    macrophageのTNF-α、superoxides、reactive nitrogen species産生を強く促す
     →Aerosolized interferon gammaは、Pneumocystisに感染したのラットの重症度を、
       CD4+ cellの数の関わらず改善する

・T lymphocytesはpneumocystisの除去に重要だが、反応が強いと肺障害も強くなってしまう
 ⇒SCIDマウスのpneumocystis感染において、酸素化と肺機能はかなり最後まで保たれる
   →機能的なT lymphocytesが少ないため
 ⇔intact spleen cellsを用いて免疫システムを再構築した場合、T-cellによる強い免疫反応が
   惹起され、ガス交換が悪化する

 ⇒肺の高度の炎症がなければ、pneumocystisの肺機能への直接的な影響はほとんどない
   =弱毒菌である

 ⇒人でも同じ;骨髄移植患者では、pneumocystis pneumoniaと呼吸障害は骨髄機能の
          回復とともに生じる

・Pneumocystis pneumoniaでは、CD8+ T lymphocytesの肺への著明な集積も引き起こす


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Pneumocystisに対するマクロファージの働き
・肺胞マクロファージは、肺に進入した最近を貪食する中心的な細胞
 上皮被覆液にopsoninsがない場合、pneumocystisの貪食はmacrophage mannose receptors(マクロファージのsurface mannoproteinと、Pneumocystisのglycoprotein Aとの間で反応するpattern-recognition molecules)により行われる
 →マクロファージが貪食
 →phagolysosomesに組み込まれ、破壊される

・マクロファージの機能が低下した動物モデルでは、pneumocystis infectionの改善が障害されることが証明されている

・AIDSや悪性疾患ではマクロファージの機能が低下
 →pneumocystisの除去能が低下する

・マクロファージはpneumocystisの貪食後、様々な種類のproinflammatory cytokines、chemokines、eicosanoid metabolitesを産生している
 →これらのmediatorsはpneumocystisの除去を行うが、肺の障害も引き起こす

Cytokine and Chemokine Networks
・TNF-α
 PCPで重要な役割をもつ
 PCPの動物モデルの実験では、抗TNF-α抗体の投与によりpneumocystisの除去が遅れる
 TNF-αは好中球、リンパ球、単球の集積を惹起する
  →これらの細胞の集積は微生物の除去に必要だが、oxidants・cationic proteins・
    proteasesなどの放出により肺も障害する

 TNF-αはその他のcytokinesやchemokinesの産生も亢進させる;
   interleukin-8、interferon gamma
   →PCPにおいて炎症細胞の集積・活性化を起こす


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 Pneumocystisの細胞壁はbeta-glucansを豊富に含み、肺胞マクロファージによる
 TNF-αの産生はPCPのbeta-glucan成分により惹起されると報告されている
  →マクロファージはglucansの受容体をいくつか持つ;
     CD11b/CD18 integrin (CR3), dectin-1, toll-like receptor 2 
  →PCPによるマクロファージの活性化は、微生物のglucan構成成分であるvitronectinや
    fibronectinなどの宿主の蛋白により増強される

・cysteine-X amino acid-cysteine chemokines(interleukin-8, macrophage-inflammatory protein 2, interferon-inducible protein)は好中球の化学遊走物質であり、PCPにおいて重要な役割を持つ
 Interleukin-8;肺への好中球浸潤とガス交換障害に関連する
            BAL液中のinterleukin-8値は予後予測に有用との報告あり
 
 分離されたPneumocystis beta-glucanは、肺胞マクロファージと肺胞上皮細胞を刺激し、
 macrophage inflammatory protein 2を産生させる
 →好中球が肺に集積し、reactive oxidant species, proteases, cationic proteinsを産生し、
  肺が障害を受ける

Alveolar Epithelial Cells and Proteins
・PneumocystisのTrophic formsはI型肺胞上皮に着する
 →この接着は宿主のfibronectinやvitronectinなどの淡白による
  Pneumocystisと肺胞上皮に存在するintegrin receptorsとの接着を補助する

・Pneumocystisが感染したI型肺胞上皮細胞は、空胞化が見られる
 →培養した肺組織での実験では、Pneumocystisが感染しただけでは、増殖・修復能は
   低下するものの、破壊性変化は生じない
 →やはり、Pneumocystisの付着が重症肺炎の原因ではなく、炎症反応が問題である


・電子顕微鏡による検討の結果、Pneumocystisは淡白が豊富な肺胞被覆液中に存在し、その液中にはfibronectin, vitronectin, surfactant proteins A・Dが豊富に存在する
 ⇔surfactant protein Bは肺炎の場合減少している 
 →surfactant protein Aとsurfactant protein Dは、PCPのglycoprotein A components
   と相互作用をする
 →Surfactant protein AはPneumocystisと肺胞マクロファージの関係を調節する働きがある.
   Surfactant protein DはPneumocystisの集積を調節する
   ;集積したPneumocystisはマクロファージに貪食されにくい

・肺のsurfactant phospholipids、はPCPの際には低下する
 →これはPCPによる直接的な影響ではなく、炎症の結果と考えられる

PCP⇔Ⅰ型肺胞上皮の接着、肺胞マクロファージ、CD4+ Tcell、これらから出る炎症性サイトカインがPCPの炎症反応の本態の様。

PCPは弱毒菌であり、過剰反応が問題、という点では、マイコプラズマに少し似ている気がします。

不思議な感染症です。



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