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MSFは保健省と共にアフリカ睡眠病対策プログラム「国家アフリカトリパノソーマ症プログラム(PNLTHA:National African Trypanosomiasis Programme)」を実施した。このプログラムの主な目的は、移動診療チームを活用して同県の人口の75%にのぼる人びとを網羅し、医療施設の内外で感染者を発見すること、および患者の適切な治療とその後の経過診療を行うことの2つであった。さらに、人びとに検査を受けるよう促すための現地保健スタッフの教育訓練も行われた。これは、アフリカ睡眠病が呪術と結びつけられがちな諸地域では、極めて重要な事柄であった。
プログラムを進行する中で、同県が公的に導入している治療方針の変更が不可欠となり、治療薬がメラルソプロールからエフロルニチン(DFMO)に切り替えられた。MSFのオームボムーにおけるプログラム責任者、カルメン・ペレスによれば、「以前の治療薬は、ヒ素を含有しているために毒性が極めて強く、激しい痛みを伴い、投与された患者の20人に1人が死亡するものでした。」その上、寄生虫の薬剤耐性が増加してしまうという問題もあった。それに対して、DFMOは「アフリカ睡眠病を引き起こす寄生虫を2週間で殺すことができ、患者の苦痛もメラルソプロールより少ないのです。」このことが、診断と治療を受ける患者の信頼を後押ししている。
病気から人間を保護するもの
ペレスはこう語る。「アフリカ睡眠病は治療しなければ死に至る病気なので、1500人を治療したということは1500人の命を救ったことになります。これは大きな成果です。」MSFの援助活動は、同県のアフリカ睡眠病の感染率を平均で0.5%減少させた。MSFはこのプログラムを5年間の予定で実施していたため、2006年1月に保健省への移管プロセスを開始した。以来、現地スタッフの教育訓練の強化に取り組み、看護師、補助スタッフ、検査技師など33人のスタッフに教育訓練を行ってきた。また、プログラムが継続して行われるようにするため、医療器具や検査キット、治療キットを医療施設に寄付した。
オームボムー県におけるプログラムの終了時点では、4人の派遣ボランティア(医師、看護師、ロジスティシャン、検査技師)と39人の現地スタッフが携わっていた。プログラムの総費用は80万ユーロ(約1億2千万円)余りであった。このプログラムでは、アルテミシニン誘導体と他の抗マラリア薬を併用する治療法(ACT)を用いたマラリア治療も行った。
MSFは1997年以来CARにおいてマラリアとアフリカ睡眠病の治療・予防プログラムを実施し、緊急時には援助活動を行っている。チャドとの国境沿いでますます情勢が不安定化していることから、MSFは最近になってカボ周辺地区と北東部のバタガフォで新たなプログラムを開始した。このプログラムは、人びとが質の高い医療を無料で受けられるようにし、起こり得る緊急事態に対処することを目的としている。
2005年、多数の援助団体がダルフール地方に到着したことを受けて、MSFは再び医療活動に専念し、新たな緊急事態に素早く対応できるよう備えるため、給水システムの管理から手を引いた。これらの避難民キャンプで暮らさなければならない人びとにとって、援助のニーズが極めて高い状況に変わりはない。避難民は生き延びるために、外部からの援助に全面的に依存している。ダルフール地方の状況は現在、暴力的な出来事が途中で何度か発生しつつもより慢性的な様相を呈しているが、非常事態は依然として続いている。
援助に対する人びとのニーズは以前と変わっておらず、援助が縮小されたことにより彼らの生活環境に悲惨な影響を与えかねない。今年の5月、1年のうちで最も重要な時期に世界食糧計画(WFP)が資金不足のため食糧の配給を縮小したことにより、MSFは苦境に陥った。現在モルネイで、MSFは援助団体が撤退することによって避難民の健康に生じる明らかな影響を目撃しているのである。
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